日常の平易な言葉で分かりやすく伝える「親鸞会」

平成20年11月28日「中外寄稿」 『真宗大谷派に質問する』

「親鸞の教えに霞をかける小川一乗氏」

「(平和、人権のことを)いわゆる現代語、世間語でもって真宗を語ろうとする風潮が強いのですが、いかがなものか、危惧を持っている」
と述べた小川一乗氏(真宗大谷派教学研究所所長、当時)を、次のように批判した小森龍邦氏(部落解放同盟広島県連合会顧問)の寄稿です。

「仏教が平易な日常の言葉で語られなければ、釈尊と親鸞の思想は遠い位置に置き去りにされる格好になると思います」
「教学の行詰まりを難しい言葉や概念の提示だけで逃げるのではなく───」
「高尚な仏教的概念も平易な言葉で、万人に通じるようでなければ、概念の難しい表現が、人々をだますのに都合よく使われることになります」
「難しい概念を平易にもみほぐす努力を怠ってきたことが、たとえば『他力本願』という真宗の中心的教義についても世間は、誤解して『他人任せの横着者』の行為の代名詞ぐらいにしか使っていないのです」

 まことにその通りで、親鸞学徒として、よくよく自戒・奮起せねばならないことです。

 親鸞会が結成されより50年、他に類を見ない法輪拡大を成し遂げてきたのも、ひたすら「親鸞学徒の本道」を実践してきたからと、知る人は多くないでしょう。
「親鸞学徒の本道」とは、「親鸞聖人をお言葉を示し、相手に分かるように丁寧にお話をする」。これ以外にありません。
 それは、高森顕徹先生ご自身が、歩んでこられた歴史でもありました。
 私事は一切説かれず、言われなかった覚如上人のように、蓮如上人のように。

親鸞会の会合 この親鸞学徒の進むべき道は、これからも変わらないでしょうし、また絶対に変えてはならないでしょう。

 そこで問題は、「親鸞聖人のお言葉を、どうしたら、分かるようにお伝えできるか」です。
 それには、私達が日常で使う言葉、意味が理解できる表現でなければなりませんし、なんといっても先ず「正確に」でなければならない。
「分かりやすくしたために、親鸞聖人が言わんとされている意味が変わってしまった」では、元も子もありません。

 では、どうすれば。

 ここに、親鸞学徒の尽きぬ悩みがあるのです。

 

 たとえば、小森氏が提起している「他力」。
 親鸞聖人は

「他力というは如来の本願力なり」(教行信証行巻)

と説示され、「阿弥陀如来の本願力」である、と明らかにされています。

 では「阿弥陀如来の本願力」とは何か。
 それについても親鸞聖人は、「無明長夜の闇を破し、衆生の志願を満てたもう」力であると説かれています。

 分かりやすく言えば、
「すべての人の苦しみの根元である『後生暗い心』をぶち破り、"人間に生まれてよかった"という生命の大歓喜を与える」力であり、
一言で、
「人生の目的を果たさせる」阿弥陀如来のお力を、「他力」と言われているのです。

 では「人生の目的」とはどういうことでしょうか。

 なんのために生まれてきたのか。
 何のために生きているのか。
 なぜ苦しくても自殺してはいけないのか。
 毎日同じことのくり返しに、何の意味があるのか。
 必ず死ぬのに、なぜ生きねばならないでしょうか。
 この「なぜ生きる」を私達に知らせ、「人間に生まれたのはこれ一つだった」と達成させる、阿弥陀如来のお力を、親鸞聖人は「他力」と言われているのです。

 ここで初めて、「親鸞聖人の教え」と「私」の関係が明確になるでしょう。
 すなわち、
「私の人生の目的を明らかにされているのが、親鸞聖人の教え」
なのです。

 

出会い このように、日常の平易な言葉で分かりやすく、親鸞聖人の本当の教えを伝える「親鸞会」の活動のおかげで、私も、聞くことができた一人です。
 しかも、それまで仏とも法とも知らなかった新入生の私が、誤解をしないようにと先輩方が様々な配慮をしてくれたお陰で、続けてご縁を頂くことができました。
 親鸞聖人の教えを、1人の人に正確に、深く伝えるということは、いかに大変なことか、実際にその立場になって、知らされます。

「事実だから」となんでもかんでも初めから言えばいい、という単純で粗雑な伝え方では、楽な分、誰もご縁を結べません。
 それは、親鸞聖人の教えの深さも分からず、本気で親鸞聖人の教えを伝える気のない者の、乱暴な発想でありましょう。

 ですから、「分かりやすい言葉遣いで、親鸞聖人の教えを伝えるべき」という指摘には同感です。

 ただ、小森氏のように「平和」や「人権」などの概念から、親鸞聖人にアプローチする社会活動家は多く見られますが、それらの問題の根底にある「人生の目的」、もっといえば「永遠の生命の目的」を鮮明にされた方が親鸞聖人と知る人は、残念ながら稀であるようです。

 親鸞学徒として、一層の奮励努力を誓いたいと思います。

 

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