親鸞会批判の真実

（15）善知識ってどんな人？

（親鸞会への大きな誤解２）(4/6)

聖人流刑の真因

釈尊の真意をくみとられ、忠実に実行なされ、生命をかけてこのことを教えられた方が、親鸞聖人であることがお分かりでしょう。「一切の神や仏を拝むな」と、あまりにも強調されたので、聖人３５歳の時、法然上人と共に流罪にまであわれました。法然上人は四国の土佐へ、親鸞聖人は越後へ流刑となられたのです。

その「承元の法難」から、今年は８００年にあたるとして、東西本願寺はじめ真宗十派では、聖人のご苦労を偲ぶ催事を行っているようですが、実のある行事になるとは思えません。流刑の事実は知っていても、その真因を知っている人がいないからです。

せいぜい肉食妻帯して破戒されたからであろう位にしか考えていません。勿論、それも流刑になったな理由の一つですが、それだけなら法然上人は肉食妻帯なされなかったのですから、流刑に遇われる道理がありません。ところが７５歳の法然上人も四国の土佐に流され、御苦労なされたことは周知の事実です。

実は両聖人が流刑になった最大の理由は、この「一向専念、無量寿仏」の強調にあったのです。結果として、親鸞聖人も流刑になったのですが、初めは死刑という極刑が科せられていました。それが関白九条兼実公のはからいによって、法然上人と同じく流刑となられたのです。

ですから両聖人が、流刑も死刑も覚悟の上で叫びつづけられた真実は、すべての人々の助かる唯一の教え「一向に専ら無量寿仏（弥陀）を念ぜよ」の、お釈迦さまの金言であったことが分かるでしょう。

釈尊は、この世の最後の説法である『涅槃経』の中に、

「破邪顕正しないものは仏弟子に非ず、仏法中の怨なり」

とまで言われています。真実の仏弟子の任務は邪を破り、正しい仏法を顕らかにすることなのです。これをやらないものは、仏弟子でないばかりか、仏の敵であるといわれています。破邪顕正は、仏教徒に課せられた使命なのです。

この釈尊のご命令を身命を賭して実践なされたのが、親鸞聖人でした。

「弥陀一仏以外には、向くな、念ずるな、礼拝するな、供養するな」

と 叫んだために受ける迫害ならば、親鸞の本望だとニッコリ微笑してゆかれた聖人が尊いではありませんか。狭量な奴だ、情けない奴だ、馬鹿者だ、狂人だ、仏法破壊する悪魔だ、仏教の怨敵だ、流刑にせよ、死刑にせよと、八方攻撃を受けながらも、

「ただ仏恩の深きことを念じて、人倫の哢言を恥じず」

と、身を粉にしても、骨を砕いても如来の真実を叫ばずにはいられなかったのです。

また８４歳の老聖人が、吾が子善鸞をきびしく義絶なされたのも、善鸞が、「一向専念、無量寿仏」を乱し、同朋を迷わせたことが原因でありました。不思議な因縁によって親子の間柄に生まれた者が、誰が好んで親子の縁を切る者がありましょうか。しかし、「一向専念の義は往生の肝腑、自宗の骨目」であるから、それを乱す者は吾が子と雖も許すことは出来ない。幾億兆の人々の後生の一大事にはかえられないと、断固、決断されたのではありませんか。

親鸞聖人の御一生の御苦労は、この真実一つを開顕せんがためのものであったことがお分かりでしょう。浄土真宗、親鸞聖人の御教えは、このように、余りに「阿弥陀仏一仏を一心一向に信じ奉れ」と強調しますので、世間の人々は一向宗とまで言うようになったのです。

江戸中期の有名な儒者に太宰春台という人がありますが、この人の著書には

「一向宗の門徒は、弥陀一仏を信ずること専にして、他の仏神を信ぜず、如何なる事ありても、祈祷などすること無く、病苦ありても呪術・符水を用いず、愚なる小民・婦女・奴婢の類まで、皆然なり、これ親鸞氏の教の力なり」

と驚嘆しています。

これによっても真宗の人達は、一切の迷信行為をしなかっただけではなく、阿弥陀仏一仏以外は絶対に礼拝したり信ずることがなかったこともご理解いただけるでしょう。